2009/01/04
神様からひと言
荻原浩氏の「明日の記憶」を購入ついでに、「神様からのひと言」を衝動買い。
読み出すと、止まらない。
443頁を一気に読んでしまった。
サラリーマンの悲哀を痛快に笑い飛ばす佳作。
ただ、上司や役員、後継者の無能ぶり(本当、このような会社ならば、すぐに傾く)を徹底してイジリまくることで笑いを誘っている。
お客様の意見は無視し、役員や後継者はスタッフを大事にしていないし、上司は自己保身に精一杯で、部下を大事にしていない。
当社の事業発展計画書の方針とかなり食い違う点で、小説の設定ながら、この架空の会社経営に我慢ならない。
ユーモア小説なので荒唐無稽な設定は、仕方なしと理解しているつもりが、ついつい経営者の視点から見てしまい、素直に賞賛できない点がいくつかある。
もはや、職業病だな、こりゃ(笑)
さて、主人公は、有名な広告代理店に勤めていた。
しかしながら、上司に暴力をふるい、中堅食品メーカーに転職する。
そして、その転職先でもトラブルを起こし、リストラ要員の強制収容所と言われる「総務部お客様相談室」へと異動。
そこで、直属の上司から、組織の本質を教えられる。
上司は、飲み屋で、おでん鍋を見ながら、会社とは、肩書きだけで尊敬されている枠組と喝破する。
『ほら、狭いところでぐつぐつぐつぐつ煮詰まってさ、部長だ課長だ役員だなんて言ったってさ、
しょせん鍋の中で昆布とちくわが、どっちが偉いかなんて言い合ってるようなもんだ。
考えてみ、このおでん屋じゃ牛スジが一番高くて偉そうだけど、
他の食い物屋へ行けば使っちゃもらえない。
こんにゃくはここじゃ安物だけど、味噌田楽の店へ行けばエリートだよ。』
会社の組織では、自己保身のために、上司に諂い、部下には威圧的な態度をとる方もいるだろう。
『お客様の声は、神様のひと言』と金科玉条のように言えば、部下を奴隷のように扱って良いのか。
(若者ゆえの甘さは、一喝していただくのは結構。
上司は部下に厳しく指導して頂きたいもんだが。。。)
主人公の憤りが伝わってくる。
しかしながら、読み進めるうちに、著者の暖かい心が伝わってくる。
人間の持つ可能性「希望」という光が。
ある日、著者宛に証券会社をリストラされた友人からメールが届く。
「知り合いが自殺した」と。
著者は、メールを返信する。
「死ぬな」と。
著者の会社員時代、逃げ出したくなるようなとき、同僚からよくこうアドバイスされていたようだ。
「大丈夫、死にゃしねぇよ」。
死ぬほどつらいのは生きている証拠。
大切な仲間が周りにいるじゃない。
今年から、繁忙期が終わる頃、幹部やスタッフと飲む機会を意識的に持とうと思う。
事業発展計画書やブログだけでなく、飲み会という遊び的要素を加えることにより、より価値観を伝えることができるだろう。
あぁ、飲み代のお金、別に押さえておかないと(笑)
この立場で、割り勘は要求しくにくし、第一、誘いにくい(苦笑)
あと、ブログのネタにもなるし一石二鳥だ(爆)
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