2009/01/13
リーダーシップ
職業会計人のカリスマ、岩永先生の「考える言葉シリーズ」を紹介したい。
時代環境が治世から乱世へとシフトした現在、経営者の学習不足は致命的だ。
昔の学習と今までの経験だけでは乗り切れない。
リーダーシップ(H21.1.12)
ジョン・P・コッター(ハーバード大教授)は、前回も紹介したが、「マネジメントは複雑さに対処し、リーダーシップは変革を推し進める」と述べて、両者の役割の違いを明確にしているが、今回は変革に必要な“リーダーシップ”について考えてみたい。
氏によると、「大多数の組織のあらゆる階層で、深刻なリーダー不足が生じているのだ」という。それは、リーダーとしての力不足や熱意のなさという問題ではなく、リーダーの行動の本質である“リーダーシップ”の発揮ができていないという問題である。
原因は、ハッキリしている。時代環境が治世から乱世へとシフトしたにも関わらず、従来のマネジメント手法が通用すると思い違いしているのである。
マネジメントの基本目的は、現在のシステムをうまく機能させ続けることであり、そのためのリスク回避である。逆に、乱世の時代に必要とされるのは、創造的な破壊(=イノベーション)であり、敢えてリスクを取りにいく決断、つまり強力な“リーダーシップ”なのだが、その認識に疎く、ゆえに勉強不足なのだ。
そこで、同教授のいう両者の用いる具体的手法に違いについて触れてみたい。
マネジメントの手順は、①「計画立案・予算策定」から入り、その達成のための②「組織化と人材配置」、そして達成のための手段は③「コントロールと問題解決」である。
次に“リーダーシップ”は、①先ず「針路の設定」を行い、さらに目的を達成するために②「心の統合」を行う、そして達成のための手段は③「動機づけと啓発」である。
“リーダーシップ”における「針路の設定」とは、方向を決め、レールを敷き直すところから始まる。つまり、現実にそぐわない計画を切り捨て、実行に移すべき計画を見定めるという決定を行うので、しっかりとした価値観の確立が必要だ。
「心の統合」とは、リーダーのもつ次元の高い価値観を共有させることによって「人々の心を一つにする」ことである。そのためには、いかにうまくコミュニケーションを図るかであろう。
「動機づけ」とは、コントロール(やらされ感)ではなく、本人自らをその気にさせるということである。変革の道は、前例のないイバラの道である。一人ひとりの主体性が発揮されないと、至る所で破綻が生じてしまうであろう。
私は、“リーダーシップ”の本質は「動機づけ」だと考える。だれもが共感し得る、価値ある目的(=あるべき姿)を指し示すことによって、人々を「動機づけ」するのがリーダーシップだと考える。
考えるに、リーダーの役割とは、つねに自己革新を怠らず、組織のあらゆる階層で“リーダーシップ”を発揮できる人材が育つ文化を醸成することではないだろうか。
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