2009/03/29
金融崩壊時の会計人の原点
先日、TKC北陸会報4月号の「巻頭言」を書かせて頂く。
そのドラフト(草案)を公開します。
(会計人の可能性)
TKCの創設者である飯塚毅先生は、「アメリカにおいて、保険代理業務は、職業会計人の正当義務であり、日本でも導入すべきだ」と提唱しました。そして、「企業防衛制度」の名の下に、大同生命との提携により、全国で3兆円の保険契約高達成を目指して企業防衛制度推進運動が開始されました。
木村光雄所長が企業防衛庁長官と呼称されるほどまでに、企業防衛推進に傾注していた頃、TKC全国会の企業防衛制度保有契約高16兆円という数字は、途方もなく遠大なものでありました。当時、人類が月に行く位、想像もつかぬ目標数値であったでしょう。しかしながら、昨年、ミッションという名に恥じない壮大なる職業会計人のロマンを見事に達成したのでした。
千里の道も一歩から、着実に職業会計人の職域拡大と共に数値も積み上がってきました。そして、会計事務所経営も私のような2代目経営者へとバトンが移るにつれ、その創業の精神も薄らいできたように感じます。先達者の業績を既与のもとして、我々は何も挑戦していないのではないか自問自答しております。
(会計人の新たなる挑戦)
理想のリーダーのやるべきこととは何でしょうか。僭越ながら、前任者達が育ててきた仕事・事業をベースにして、次の世代が果実を享受できるような新しい仕事の種を蒔き、土を耕しておき、企業の継続的発展を図るのがリーダーの仕事と考えております。
前任者達の育てた仕事の果実を徹底的に収穫することだけに集中し、それを自らの実績として誇り、次の世代への先行的投資努力を一切しないタイプのリーダーは最悪です。
三井物産元副社長の島田精一氏は、「焼畑略奪農業型リーダーになってはいけない」。そして、「リスクなきところに利益なし」と言っております。また、陶芸家の河井寛治郎氏は、「過去が咲いている今。未来の蕾で一杯な今。」とも語っております。
(金融崩壊時の会計人の原点)
「この秋は、雨か嵐か知らねども、今日も一日、田の草を刈る。」二ノ宮尊徳
(田植えをしてから、秋の刈り取りまでの、期間中に台風が来るかもしれない、どんな自然災害がくるだろうかと考えたら、眠れなくなるほど心配になることもあるが、それはそれとして、先ず今、出来ることをしっかりやる。)
アメリカの金融危機以降、その視点や距離感により、100年に1度の大恐慌との論調がある一方、千載一遇のチャンスの到来など両極端の見解が多いように感じます。この経営状況の中で、悩んでいる経営者も多いことと推察致します。
上記の二ノ宮尊徳の言葉どおり、我々会計人の拠り所は、公正無私の理念であり、行動は、脚下照顧を基本とすることは不変だろうと思います。農作も秋に台風が来るからといって、春に種まきしないことはありません。足下を見て、役割分担をし、それぞれ今日の務めを果たすことが大事なことと信じています。
この記事へのコメントを書く