2009/05/03
医療機関の源泉所得税に関する大型税務案件
病院が払う勤務医や看護士の宿日直手当は、日額4,000円までは非課税となっている。
4,000円を超える日当に対して、病院は、所得税の源泉徴収をして所轄の税務署に納付する一方、勤務医や看護士も所得税を納付する。
数年前、横浜市が上記の源泉所得税の納付漏れを発表した。
横浜市医師宿日直手当源泉所得税.pdf
記者発表資料 (平成17年6月30日 )
医師の宿日直手当に関する源泉所得税を納付しました。
本市は、宿日直手当(勤務1回につき6,400円)については、宿日直料の非課税を定めた所得税の取扱通達(所得税基本通達28-1)に基づいて、1回4,000円までは源泉所得税を徴収していませんでした。
しかし、横浜中税務署から、医師・歯科医師に対する宿日直手当に関するこの通達の適用については、業務内容によって課税する場合もあるという指摘を受け、昨日、納税の告知を受けました。
そこで、非課税として所得税を徴収していなかった分について、平成13年分以降の源泉所得税を納付しました。
1 横浜中税務署から指摘された内容
医療施設における入院患者の病状の急変等に対処するための当直勤務は、従前どおり宿日直料の非課税を定めた所得税取扱通達に該当し、非課税であるが、それ以外の勤務については、課税となる。
2 対象者及び納付すべき税額
(1) 対象者
平成13年以降に上記の業務に携わった医師・歯科医師216名
(2) 税額
13,291,420円
(内訳)
源泉徴収をしなかった税額 11,705,820円
不納付加算税額 1,167,000円
延滞税額(試算) 418,600円
合計 13,291,420円
以上。
所得税基本通達28-1(宿日直料)では、次の3つのケースにおいて、その全額を課税の対象としている。
(1) 休日又は夜間の留守番だけを行うために雇用された者及びその場所に居住し、休日又は夜間の留守番をも含めた勤務を行うものとして雇用された者に当該留守番に相当する勤務について支給される宿直料又は日直料
(その解説)
換言するならば、休日または夜間専門で働くためだけに雇用されたお医者さんや看護士さんに払う日当は、非課税の対象とならない。
(2) 宿直又は日直の勤務をその者の通常の勤務時間内の勤務として行った者及びこれらの勤務をしたことにより代日休暇が与えられる者に支給される宿直料又は日直料
(その解説)
勤務医の先生が当直明けでそのまま勤務した場合は非課税対象となる。
看護士の場合、日勤・夜勤などシフトが組まれていることが多く、夜勤明けは帰ることが多い。
実質、休日休暇が与えられる場合、課税の対象となる。
(3) 宿直又は日直の勤務をする者の通常の給与等の額に比例した金額又は当該給与等の額に比例した金額に近似するように当該給与等の額の階級区分等に応じて定められた金額(以下この項においてこれらの金額を「給与比例額」という。)により支給される宿直料又は日直料
(その解説)
ひと言で言えば、給与なので課税対象。
宿日直とは、肉体的・精神的負荷に係わる超過勤務手当の性格のもの。
それ以外は課税対象となる。
以下、余話ながら、派遣医の給与所得について適用する 源泉徴収額表の区分等について、国税庁の発表を付け加えておく。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/shotoku/gensen/821025/01.htm
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