2009/05/20
給与データベースの活用について 4
第13回日本医業経営コンサルタント学会が金沢で開催される。
6月18・19日(木・金)の2日間にわたり、「変革・・地域が目指す医業経営の創造」と題し、コンサルティング実務・技法等の研究成果を発表する。
当社も、「給与データベースの活用について」というテーマでの発表を検討している。
【目次】
・はじめに
・方法
・結果
・考察と提案
・おわりに
「考察と提案」を抜粋してみよう。
この結果を院長先生に伝えたところ、次のような意見が聴けました。
「経験のあるスタッフの給与が毎年の昇給で高くなることは必ずしも間違ってはいないと思う。
しかし、診療報酬が減少している現状では、見直す時期にきている。
財務的にも人件費率が高くなってきているので見直しが必要だと思う。」
以上を考慮して、院長先生に次の四つの提案をしました。
一.
若年層の給与を地域相場まで引き上げました。これは若年層の賃金相場を理由とする離職を回避することと、優秀な人材採用の可能性の向上になります。
二.
昇給の幅を一律、一定額とせずにスタッフの年齢・勤務成績・業績に合わせた内容にしました。まず標準昇給額を設定しました。標準昇給額とは、平均的な勤務成績・業績の場合に実施される昇給額になります。この標準昇給額は年齢によって異なるものとし、年齢が低いうちは昇給幅を高くし、年齢が高いほど昇給幅を低く設定します。またスタッフごとの勤務成績をポイント制で評価して係数化して標準昇給額に乗じます。さらに医院の業績を考慮します。これは年間の収入から医薬品費・診療材料費・検査費等直接診療にかかるコストを控除した利益(以下これを粗利という)を基に、目標予算の達成率を標準昇給額に乗じます。その結果、年齢と勤務成績・医院の業績を加味した昇給が可能となります。
三.
今後の標準賃金テーブルを設定しました。地域相場より低い若年層には固定的賃金を増額しました。しかし、賃金制度の変更という一方的な増額は今後の昇給に影響を与え、スタッフに不信感をも与えるため、調整給という名目で増額しました。地域相場より高い年齢層に対して減給はしませんでした。それでも能力的に減給が必要なスタッフに対しては賞与や昇給で調整していくことにしました。
四.
賞与を業績対応型にしました。今まではスタッフ全員に夏は基本給の1.5か月分、冬は2.5か月分という一定支給となっていました。しかし、今後の経営状況においてこのような支給は不適切になります。
そこで、夏・冬の賞与の上記算出方法に粗利(夏・冬の賞与算定対象期間)の予算達成率の業績係数を乗じることにしました。補足となりますが、当クライアントの当年予算は前年維持を目標としております。従って予算達成率とは前年比となります。
この方法を採用すると毎年の予算策定が非常に重要となります。
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