2009/06/08
閣議決定した税制の抜本改革を知ってますか
株式会社木村経営ブレーンのホームページ。
毎月、5のつく日に木村所長が短信を更新している。
今回は、「税制の抜本改革」。
政治家の答弁の「検討する」は、「結局何もしない」を意味する(笑)
他にも政治家たる者、「状況を見て判断する」など便利な言葉を駆使して、責任の所在を曖昧にしている。
5W1Hなど文章の構成に必要な具体的な項目を一切省略することにたけなければ、政治生命も危うい。。。
しかしながら、閣議決定した文書の「検討する」は、本当に「検討」している。
「閣議決定した税制の抜本改革を知ってますか」<74>(6/5)
平成20年12月24日の閣議で持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた「中期プログラム」が決定されている。
よくテレビで社会保障と消費税のことが取り沙汰されているが税制の基本的な方向性はもう決まっているのである。
以下、その内容をしっかりと確認して欲しい。
1,税制抜本改革の道筋
基礎年金国庫負担割合の2分の1への引き上げのための財源措置や年金、医療及び介護の社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通しを踏まえつつ、今年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取り組みにより経済状況を好転させることを前提に、消費税を含む税制抜本改革を2011年度より実施できるよう、必要な法制上の措置をあらかじめ講じ、2010年代半ばまでに段階的に行って持続可能な財政構造を確立する。
なお、改革の実施に当たっては、景気回復過程の状況と国際経済の動向等を見極め、潜在成長率の発揮が見込まれる段階に達しているかなどを判断基準とし、予期せざる経済変動にも柔軟に対応できる仕組みとする。
2,税制抜本改革の基本的方向性
社会保障の安定財源確保を始め、社会における様々な格差の是正、経済の成長力の強化、税制のグリーン化など我が国が直面する課題に整合的かつ計画的に対応するため、下記の基本的方向性により更に検討を進め、具体化を図る。
(1)個人所得課税については、格差の是正や所得再分配機能の回復の観点から、各種控除や税率構造を見直す。
最高税率や給与所得控除の上限の調整等により高所得者の税負担を引き上げるとともに、給付付き税額控除の検討を含む歳出面も合わせた総合的取り組みの中で子育て等に配慮して中低所得者世帯の負担軽減を検討する。
金融所得課税の一体を更に推進する。
(2)法人課税については、国際的整合性の確保及び国際競争力の強化の観点から、社会保険料を含む企業の実質的な負担に留意しつつ、課税ベースの拡大とともに、法人実効税率の引き下げを検討する。
(3)消費課税については、その負担が確実に国民に還元されることを明らかにする観点から、消費税の全額がいわゆる確立・制度化された年金、医療及び介護の社会保障給付と少子化対策に充てられることを予算・決算において明確化した上で、消費税の税率を検討する。
その際、歳出面も合わせた視点に立って複数税率の検討等総合的な取り組みを行うことにより低所得者の配慮について検討する。
(4)自動車関係諸税については、税制の簡素化を図るとともに、厳しい財政事情、環境に与える影響等を踏まえつつ、税制の在り方及び暫定税率の在り方を総合的に見直し、負担の軽減を検討する。
(5)資産課税については、格差の固定化防止、老後扶養の社会化の進展への対処等の観点から、相続税の課税ベースや税率構造等を見直し、負担の適正化を検討する。
(6)納税者番号制度の導入の準備を含め、納税者の利便の向上と課税の適正化を図る。
(7)地方税制については、地方分権の推進と、国・地方を通じた社会保障制度の安定財源確保の観点から、地方消費税の充実を検討するとともに、地方法人課税の在り方を見直すことにより、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築を進める。
(8)低炭素化を促進する観点から、税制全体のグリーン化を推進する。
以上の税制抜本改革は二年後の2011年4月から段階的に実施できるように今年度であらかじめ制度を準備しておくこととしている。
二年後に「それは知らかった」と言わないようにしたい。
この記事へのコメントを書く