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2009/08/10

減価償却制度の変更に伴う企業業績の影響度

数年前、職業会計人の質問ベスト5に「購入かリースか?」の選択肢が必ずあった。
減価償却制度が変更される以前は、税法は耐用年数を超えた場合でも購入価格の95%までしか税務上の費用として認めていなかった。
購入した場合と比して、リースならば、100%全額損金算入できる。
そこで、職業会計人は、リースのメリットの1つと説明していたものだった。
その昔、鉄屑が取得価格の5%程であったことから、残存価額をその分残したと言われる。
当時、減価償却制度が変更され、企業の業績に影響を与えたのだった。
減価償却(ことば)
(2007/03/29,日本経済新聞 朝刊, 15頁)
 固定資産は長期間利用するため取得時の費用は一括計上せず、使用する期間に応じて何年かにわたり配分する。通常は法人税法が決めている法定耐用年数を用いることが多く、取得額をその年数に応じて定率や定額の方法で償却する。
 税法は耐用年数を超えた場合でも取得価格の九五%までしか税務上の費用として認めていない。九五%を超えて償却しても税務上は費用にならず、課税所得は減らない。
 〇七年度の税制改正で減価償却が備忘価額(一円)まで認められるようになる。すでに九五%に達している資産についても残りの五%を償却すれば費用になる。企業としては税金面でのメリットを受けられる一方、会計上の利益は目減りすることになる。
減価償却、利益圧迫要因に―制度変更、製紙や石油、影響大。
(2007/03/29,日本経済新聞 朝刊, 15頁)
 二〇〇七年度の税制改正での減価償却制度の見直しが、〇八年三月期以降の企業業績を圧迫しそうだ。既存設備を含め全額損金算入が認められるためで、製紙や石油など古い大型設備が多い企業ほど影響が大きくなる傾向がある。償却費増が利益を押し下げるが、貸借対照表の圧縮や現金収支の改善につながるため、実質的に企業価値を押し上げる効果も期待出来る。
 企業は取得した固定資産を、税法上損金算入できる九五%までしか償却していないことが多い。償却期間の終わった設備を多く抱える業界では残り五%を償却する際の費用負担が大きくなる。
 紙生産設備を抱える製紙業界では王子製紙の残存価額がおよそ四百五十億円。〇八年三月期から五年で均等償却すると、年九十億円の営業減益要因となる。〇七年三月期の営業利益予想の一割強に相当する額だ。
 石油精製設備を全国に七カ所に抱える新日本石油は〇八年三月期から五年間に渡って百二十億円程度、利益を圧迫しそうだ。東京電力も発電設備などの残存価額が大きく、毎年四百億―五百億円(単独ベース)の減価償却費増につながる見通し。大型プラントを持つ化学や鉄鋼メーカーなどは一時的に償却費用が増加する可能性が大きい。
 減価償却費は現金支出を伴う費用ではない。一方で償却費の増加により税負担は減る。キャッシュフローにはプラスに働くため設備投資の増額なども可能になる。野村証券の野村嘉浩投資調査部次長は「基本的には企業価値には良い影響を与える」とした上で、「見かけの利益の減少を嫌気する投資家も少なからずいる」と指摘する。
 今回の制度改正では企業が費用計上する時期や区分のばらつきもでている。日本公認会計士協会は今月、監査上の取り扱いとして「原則、減価償却費として五年間で均等償却」する公開草案を出した。現状ではこれに沿った方針を取る企業が多いとみられる。
 もっとも三菱ガス化学は〇七年三月期に残存分の九十億円を一括で特別損失に計上する方針。大王製紙も「特殊要因で本業のもうけを示す営業利益が減るのはおかしい」と〇八年三月期からの五年間で特別損失で処理することを検討している。
 さらに三井化学や花王など以前から有税で全額償却している企業もある。その場合は利益への影響はなく、税負担だけが減少する。

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木村 岳二(Kimura Gakuji)
年齢
1970年生まれ A型
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会計事務所経営
メールアドレス
g-kimura@kkb-jp.com

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