2010/01/11
盛田昭夫氏の「21世紀へ」を読んで
≪序章 国家を崩壊させる方法≫
先日、ある識者から、国家を崩壊させる3つの方法を拝聴させて頂きました。国家を崩壊させるには、武器は必要ないという。国家に対して若者が希望を持たず、怒りを感じさせないようにすれば、いずれ国家は滅びます。
1.自己中心者を増やすこと。愛国心とは全く無縁な人を増加させる。
2.スポーツ(個人競技)を盛んにすること。野球やサッカーはチーム競技のようであるが、ポジション争いなど個人競技である。
3.エロ情報を氾濫させること。
まさに、崩壊しつつある国家とは、戦後の日本であり、このことをご教授頂いた識者は憂国の志士であった。
≪日本を去勢する方向へ≫
この連休中に拝読した本のなかで、「21世紀へ 盛田昭夫著」が断トツの面白さでした。その146頁にこう書いてあります。
「戦の悲哀を噛みしめるべき機に、終戦といいくるめてアメリカの温和な政策に慣れて、立ち直るべき国家的自覚をうやむやにしてしまった。
それが、国家あるいは社会の秩序のなかで生きる責任感の欠如を青年にもたらし、・・・
社会への無関心、これを私は恐れています。」
私も、若者の大きな怒り、志がなければ、国家は崩壊するという危機感を抱いております。
第二次世界大戦中、アメリカ軍の沖縄上陸作戦(1945年4月1日~6月23日)に対する特攻攻撃の基地が沖縄にありました。私とほぼ半分の年齢の若者が国家のために命を捧げました。片道の燃料しか持たぬ20歳のある青年が、沖縄の基地から敵地へと飛び立つ際、最後にこう言い残したといいます。
「わたくしの死は、無駄になりませんか?」と。
≪総理大臣の役割≫
同じ盛田氏の著書の338頁に総理大臣の役割として、盛田氏が中曽根氏から聞いた言葉が書かれており、心が震えるぐらいの感動を与えて頂く。
中曽根氏は言う。
「自分の上には、天皇陛下しかおられない。天皇陛下は賢所で祭り事をされる方だ。日本の全国民に対する全責任は自分にある。困った時に、天皇陛下お願いしますというわけにはいかないのだ。思えば、戦後浮かばれぬ日本の亡霊がたくさんある。自分が総理になった以上は、身命を賭して浮かばれぬ亡霊を鎮めることをやらねばならない。」
心から痺れる言葉であり、事実、中曽根氏は首相在任中、仕事をしたと思います。総理は国家の最高責任者であり、企業経営者に例えるならば、社長です。創業者や会長に頼ることなく、全責任をもって自己保身することなく、全霊をもって取り組まなければなりません。
≪経営者として国家にできること≫
盛田氏の著書「21世紀へ」の168頁には、政府は企業の合弁会社であると強調しています。
「企業は利益の50パーセントほどを法人税という形で政府へ納めている。政府は、株は1株も持たないが、実質上は50パーセントの株主と同じであり、要するに政府はパートナーなのである。
従って、利益の半分を持っていく政府は、当然パートナーとして相手の企業がうまくいくことを望むのは当たり前であって、・・・」
企業として税金を納めるのは義務であり、会計人も貢献していると自負しています。そして、企業は、タックス・ぺイヤーとして権利を有しています。
企業において株主は自らの出資金の使い道について経営者に責任を要求することができ、経営者はそれに応える義務があります。税金を納めている企業は、日本国株式会社の株主であるから、当然、国家に対して要求する権利があります。
盛田氏のこの熱き言霊に触れて如何でしたでしょうか。多額の法人税を納付させて頂いている会社には、政府にもの申す権利があると私も思います。ただ、批判するだけでなく、自ら経営者として国家に対して何ができるかを自問自答させていただきました。
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