2010/07/26
財務会計の限界と経営人材を育成する経営管理会計
過日、JPBM協会(日本中小企業経営支援専門家協会)の会合で「財務会計の限界と経営人材を育成する経営管理会計」.と題したテーマを拝聴する。㈱鉄人化計画の代表取締役社長 日野洋一氏をゲストに招き、経営のための会計につき考えさせられた。
1.国語と算数の一致
企業の理念やヴィジョン、そして戦略や目標・方針は、言葉で語られ、文章にされる。その道具は日本語であり、国語です。この国語の世界は数値に置き換えることができます。
あらゆる事象を数値化、計数化することによって、事実に正確性と客観性を与えることができます。そして、数値は言葉の持つ情緒性や抽象性といった性質を補完し、その日本語に説得力を持たせることができます。それは、国語と算数が一致し、言葉が説得力を持った瞬間であり、それを聞いた時、人は動きます。
2.経営のための会計の第一歩
変動費と固定費とは、売上高に対して変動固定します。売上高に伴って増加及び減少する費用を変動費といい、売上高が変化しても増減しない費用を固定費といいます。
固定費は単なる費用ではなく、力と見ます。
付加価値を生み出しているのは人なのか物なのか。
現在の儲けを、労働生産性と設備生産性などの指標に分けて分析し、何に投資すれば儲かるのか真摯に考えること。経営管理会計の出発点です。
3.付加価値の源泉を知る
固定費を要素費用としてボーっと見ていては、経営に失敗します。例えば、パチンコ業。
この業態は、何が付加価値なのか。ある経営者は人が付加価値の源泉と見て、ホールの接客で差別化を図ろうとした。深々とした礼や丁寧な言葉遣いをマスターして、経営を行った。そのパチンコ屋の結末は如何に。結果は、早々と倒産してしまった。
限られたお金を何処に投資するか。人に大事なお金を振り分けた場合、設備に回すお金が減ってしまう。したがって、機種の更新投資を滞らせてしまったのが敗因となってしまった。この業態のパワーの源は人ではなく、設備、機種の良し悪しだったのです。
接遇も大事ではあるが、機種更新の方がパワーを有する。言い換えるならば、人よりもモノに付加価値があったのです。
経営管理会計で大事な点は、会社には複数の業態が混在しており、ビジネスユニットを戦略的に区分し、その業態ごとに変動費と固定費に分けて、とくに固定費というパワーの源が何処にあるかを見極めることが必要だということです。
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