2012/09/24
第一回やまと塾レポート
第一回やまと塾(2012年9月8日 土曜日)
中村亨氏の講演録
いまこそ求められる「会計的経営思考」とは?
~「会計力」×「経営力」で企業の未来を切り開こう!~
1.プロローグ
会計とは、経営状態を測定するツール(=道具)であり、それ自体の価値はない。「会計」に「経営」や「マーケティング」などをいかにして組み合わせていくか。今回、「会計」を経営に活かすため、「会計」と「経営」を掛け合わせようと思う。過去10年の歴史を振り返り、企業の描いた戦略や実際のストーリーが決算書にどのように反映されているか検証してみたい。過去の歴史と決算書の軌跡を学び、未来の経営戦略に活かす。
2.過去10年の歴史から学ぶこと
会計はルールがあり、財務諸表は365日の原因と結果しか記載されない。また、経営分析には、よく二期比較が用いられる、しかしながら、2期分では700日程度の情報では、過去のストーリーが読めない。出来れば、過去の歴史を振り返り、10年間の財務諸表を並べて分析すれば、わかることもあるだろう。視点が短期か長期かでは捉えることによって、得られる情報の質も異なってくる。ロングレンジの視点の大切さを学ぶ。
2003年(平成15年) 4月 ソニーショック(日経平均 7,603円) 5月 りそな実質国有化
2005年(平成17年)8月 郵政解散
2006年(平成18年)1月 ライブドア事件
2007年(平成19年)8月 日経平均の直近高値(18,000円台)
2008年(平成20年)9月 リーマンショック (日経平均は2009年3月に7021円の安値)
2011年(平成23年)3月 東日本大震災
参考/為替レート 2003年(平成15年)4月 1ドル=約120円
3.決算書で企業のストーリーを読む
10年間の決算書の数値を俯瞰すると、経営者の思いが伝わってくる。ストーリー①の「イオン」は、「セブン」の売上を抜くために、埼玉レイクタウンなど多大な投資を行ってきたことが一目瞭然にわかる。イオンのキャッシュフロー計算書を10年間並べてみると、営業CF(キャッシュ・フロー)より投資CFの方が大きい年が何年もある。営業CFの範囲内で投資CFを抑えることがキャッシュフロー経営の王道であるにもかかわらず、攻撃的な投資を続けてきたことがわかる。「利益よりも売り上げ増加」こういう経営者の思いが透けて見える。
ストーリー④の「富士フィルム」では、リストラをしながらM&A攻勢をし続ける経営者のDNAを学ぶ。歴代の経営者は、創業期から常に多角化を模索している。経営者曰く「研究開発費を減らせば、利益は3~4%はすぐに増える。その誘惑には駆られるが、やるつもりはありません」と。過去の決算書から、経営理念や哲学が浮かびあがってくる。決算書には、壮絶な経営者の苦闘の物語があり、これからの時代変化にどう対応していけば良いのか。大いなるヒントが隠されている。
《代表ストーリー》
ストーリー① 人口減少とどう向き合うか? 「イオン」「セブン&アイホールディングス」
ストーリー② V字回復 「日産自動車」「シャープ」
ストーリー③ 選択と集中 「日立製作所」「ソニー」「パナソニック」
ストーリー④ M&A 「富士フイルム」「住生活グループ(現 LIXIL)」
ストーリー⑤ イーコマース 「楽天」「アマゾン(U.S)」
ストーリー⑥ SPA 「ファーストリテイリング」「ニトリ」
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