2015/12/13
消費税軽減税率の導入
以前、自由民主党の伊吹議員が自民税調にいた頃、当時の税のドンであった山中氏より、3つの教えを受けたという。
1.税には税の理念が存在する
2.税には税の体系があるので人為的に体系を乱してはいけない
3.税は法律で決めるから、法律制定のない権限のない政府税調より自民党税調は上位に存在する
今回の消費税軽減税率の導入は、自民党税調ではなく、官邸主導で行われた。公明党との政治の駆け引きでの結論です。
1.消費税の理念とは何でしょうか。
年金と医療、介護のほとんどは所得比例の保険料で賄われています。そうであれば、努力して収入が増えた人の負担が多くなり、勤労意欲を阻害し、ひいては国家の発展を阻害する。だから、全ての人が受ける社会保障の給付は全ての人が納める税金、つまり消費税で所得比例の負担感を緩めていこう。これが消費税の理念です。すなわち、消費税は逆進性が特徴です。逆進性とは、所得の低い人ほど税の負担率が高くなる性質のことです。
2.消費税の体系
所得が高くても低くても食べ物にかかる消費税は同じであるから、税率の高い欧米諸国では軽減税率を導入しています。消費税を難しくしている最大の原因は、納税と負担が違うことにあります。製造、卸売り、小売りの段階で、消費税をそれぞれ納付する一方、必ず消費税は転嫁して、消費税の最終額を最終消費者が負担する。したがって、転嫁を阻害するような仕組みは消費税の税体系に反することになります。つまり、消費税の納付をする人が簡易にできることが税体系にそうやり方と言えます。
3.おわりに
消費税の理念と体系の中で、簡易・簡便、理解しやすい税制であるべきであったにもかかわらず、平成29年4月より、軽減税率の対象が外食を除く全食品に適用される。たとえば、蕎麦屋で食べるソバは8%で出前で自宅で食すソバは10%となる。決まったものは仕方ないので、混乱しないように自分なりに努力していきます、ただ、かつての自民党税調の矜持はいかがしたか。こんなことを思いながら、今年も税制大綱を読み込みます。
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