2018/02/25
消費税計算に係るインボイス導入は帳簿軽視の号砲? ~ 帳簿軽視の危惧(2)
法人税と消費税の計算~日欧の違い
日本では、消費税導入の平成元年からずっと帳簿方式を採用しており、現在、請求書等も保存してあれば消費税の計算上、預かった消費税から引いています。現在、税務の実務では、法人税と消費税は、一体として計算しています。帳簿を基礎としながら、一元的に財務諸表を作成しています。
一方、欧州(EU)では、消費税計算においてインボイス方式を導入しています。インボイス方式とは、簡単に説明すると、預かった消費税(発行したインボイス)から他者から発行されたインボイスの分を引いて計算する制度です。逆に言えば、正式なインボイスがなければ消費税を引けません。
誤解を恐れずに言えば、インボイスとは、新たな法律上の消費税計算上の疑似紙幣です。インボイス方式を導入しているEU諸国では、このインボイス発行あるいは管理コストが膨大であるとの報告もあります。疑似紙幣が生まれるとすれば、その流通過程では、インボイスを不正発行する例があるのは納得できます。
インボイス方式を導入した場合、法人税計算は従前どおり大切な帳簿を基礎にして行い、消費税の計算はインボイスを基礎として行うこととなり、法人税と消費税との二元管理になると推察しています。事業主の管理コストは甚大となることでしょう。
消費税が導入されたこれまでの平成の30年間も、丁寧に、適時適切に帳簿を作成するようお客様にご指導させて頂いております。これからも帳簿作成及び電子帳簿の改善を継続しようとしている現在、欧米制度に倣うインボイス制度の導入には疑問を感じています。インボイス導入で帳簿が軽視されるようになれば、国家の基盤が消滅すると考えます。
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