2018/04/29
シンガポールのプライベートバンク視察
過日、グランドタッグシンガポール支社(Grandtag Financial Group)、シンガポール銀行(Bank of Singapore Limited)、LGTリヒテンシュタイン銀行(Liechtenstein Singapore Group Trust)シンガポール支店の3社を訪問する機会を得ました。
はじめに ~ プライベートバンクの現状
プライベートバンキング事業の撤退が相次いでいる。撤退の背景には、監督当局による監視の目が厳しくなっていることにある。秘密主義を守ってきた銀行に情報開示を求める動きが強まっている。米国政府が顧客情報とりわけ税務詳報の開示を要求したことも記憶に新しい。プライベートバンクの実情がどうなっているのか。シンガポールを視察してきましたので、その実情をご覧ください。
1.グランドタッグシンガポール支社(Grandtag Financial Group)
最低口座開設額は1ミリオンUSドル。(日本円110円換算で1.1億円)
創業者ジェイムソン率いる投資顧問会社。リスクとリターンのパターンが5種類あり、顧客の要望に応じて資産を運用している。運用責任者から実際のポートフォリオを見せて頂く。感情ではなく機械的に期待利回りが確保できるように売買している。そこには期待も失望もない。システム通り。希望も恐怖もない。投資顧問の実情を垣間見ました。
2.シンガポール銀行(Bank of Singapore Limited)
最低口座開設額は3ミリオンUSドル。(日本円110円換算で3.3億円)
掲載の写真の指が三本であることに注目(笑)
数年前は1ミリオンであったが、富裕層の増加により口座開設のバーが上昇している。
最近の傾向として、日本の法人の預け入れが増加している。2011年の東日本大震災以降、日本という一つのバスケット(籠)だけにお金を預けているのはリスクがあると見ているからだという。地理的リスクを分散しようという意図で、米ドルでの資産を預けている。
3.LGTリヒテンシュタイン銀行(Liechtenstein Singapore Group Trust)シンガポール支店
最低口座開設額は2ミリオンUSドル。(日本円110円換算で2.2億円)
LGT Bank(1920年創業)は、リヒテンシュタイン公国の公室の資産を預かる銀行である。面白かったのは、公室と同じ資産運用という要望が依然と人気が高いということ。確かに堅いと思います。
一人の担当者は約30社を担当する。三分の一は運用の話で、残りの三分の二は、他の話。子息令嬢の教育や承継など多岐に亘る。ここら辺の感覚は会計事務所の業務にも通じるものがありますね。お客様のお金だけではなくライフプランの相談にも応じる。
まとめ
非居住者の税務が厳格化されたことにより、税務ニーズではなく、分散ニーズで日本企業の口座開設が増加している。今回の訪問により、この事実を体感しました。地方の未上場企業の口座開設が徐々に増えてきていることも確認し、日本円のみではなく多通貨で分散することの大切さも学びました。最低口座開設額のバーを越える法人経営者の方は検討の余地があると思います。
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