2023/03/05
インボイス制度とは(後半) 2023
2.インボイス制度反対表明~今回の主役である免税事業者の益税の矛盾是正
個人的にも税理士会も商工会議所もインボイス制度の導入には反対してきた。
この「宝在心」ブログでも繰り返し言及してきた。
一度、当時の岡田直樹財務副大臣(第三次安倍改造内閣)を有志で訪問したことを想いだす。
「消費税の益税問題」は確かに実在する。
ならば、消費税事業者の免税基準(現在は基準期間の課税売上高1,000万円)を廃止しても良いのではないかとも説明した。
要は、免税という概念自体をなくしてしまう。(ある程度の優遇措置は設けて頂くことを前提に)
だったら、インボイス制度は必要ないと。
財務省の副大臣室でこのようにインボイス制度に反対の旨を主張したところ、「インボイス制度導入は、財務省の悲願だから廃止は難しい」と胸中を吐露いただいた。
ただ、小規模零細事業者には一定の優遇措置を設けることは出来ると。
事実、2割特例や少額特例などの例外規定は設けられた。(余計面倒となったと独り言)
3.インボイス制度選択事例~クリニック編
典型的な免税事業者といえばクリニック。
患者さんは、当然に事業主ではない。
消費税を引く(仕入税額控除を行う)売上もなければ、そもそも診療行為は非課税だ。
クリニックがインボイス制度導入を機に課税事業者を敢えて選択する場合を検証したい。
クリニックが事業主(消費税の課税事業者)を相手にする場合だろうか。
取引先がクリニックに対し、インボイスを発行してほしいと要請する場合として、以下が考えられる。
1.産業医として委託契約する場合(社員が50名以上いる場合、産業医設置が義務付けられている)
2.インフルエンザ予防接種する場合
3.製薬会社より治験収入がある場合
4.金沢市からの委託先である金沢市医師会(課税事業者)の「すこやか健診」「高齢者予防接種」を受託した場合
蛇足ながら、金沢市医師会より、医療機関に対しインボイス制度を機に課税事業者になることを要請する可能性もあるだろう。
おわりに
財務省主税局「平成28年度与党税制大綱」の参考資料によれば、課税事業者310万者に対して、免税事業者数513万者と試算しており、事業者のうち、6割弱の納税義務が免除されているという。
「消費税の益税」問題が導火線となり、インボイス導入狂騒曲については、これまで見てきたとおりだ。
小規模零細事業者の多くがお世話になる商工会の幹部の方から、インボイス導入を機に廃業を検討している方がかなりいるという。
聴けば、消費税を計算するのも面倒であるし、納税するのはもっと嫌だ。
もう高齢だし、潮時だと。
電子帳簿保存法の義務化と相まって(負の相乗効果)、大廃業時代の到来が予測されている。
識者は言う。小規模零細切り捨ての時代が来たと。
顧問税理士がいない事業者に対し、インボイス制度の正しい認識を持って欲しい。
わたくしの心からの願いであり、ここらへんで筆を置きたい。
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