2016/02/25
「医療勤務環境改善支援セミナー」<317>
2月18日(七尾市)、24日(金沢市)の2日にわたり標題のセミナーが石川県の主催で開催された。
このセミナーは、もとをたどれば平成26年10月1日施行の改正医療法の規定に基づく。
改正医療法で、「第四節 医療従事者の確保等に関する施策等」において
1、病院又は診療所の管理者は、勤務する医療従事者の勤務環境の改善と医療従事者の確保に努めなければならない。
2、厚生労働省は指針を定め公表する⇒「医療分野の雇用の質向上のための勤務環境改善マネジメントシステム導入の手引き」(平成27年3月改訂版)を策定した。
3、都道府県は医療従事者の勤務環境の改善を促進するため、相談、情報提供、助言援助、調査、啓発活動を行う。
そのための「医療勤務環境改善支援センター」機能を確保。
4、国は都道府県の活動をバックアップ(調査研究、情報提供等)を行う。
両日行われたセミナーの次第は。
1、医療勤務環境改善について(10分)
石川県医療対策課
2、労働法規の基本的な説明(20分)
石川労働局監督課
3、労務管理面からの医療勤務環境改善(45分)
講師:石川県社会保険労務士、小矢田由希氏
4、医業経営面からの医療勤務環境改善(45分)
講師:(公社)日本医業経営コンサルタント協会石川県支部顧問、木村光雄
5、閉会後に相談コーナー
今回の「雇用の質」の目的は、国民が将来にわたり、質の高い医療サービスを受けるために医療分野の勤務環境の改善により、医療に携わる人材の定着・育成を図ることが必要不可欠であり、特に、長時間労働や当直、夜勤・交代制勤務等、厳しい勤務環境にある医師や看護師等が健康で安心して働くことができる環境整備が喫緊の課題となっています。
雇用の質を向上させる勤務環境改善の取り組みにより、医療スタッフを惹き付けられる施設となるだけでなく、「医療の質」が向上します。
医療スタッフにとって…勤務負担の軽減、やりがいの向上等。
患者にとって…質の高い医療が提供される等。
経営にとって…経営の質の向上等。
具体的には次の四点。
1、働き方・休み方の改善
2、職員の健康支援
3、働きやすさの確保
4、働きがいの向上
日本医業経営コンサルタント協会の医業経営コンサルタントが行う業務は多岐にわたっていますが、特に働き易さの改善には次の三点を重視します。
1、組織の問題、人事上の課題を明らかにし、改善の方策について管理職以上が共通認識を図ること。
2、人材の適正な評価、キャリア観について上司と部下が理解し合うこと。
3、労働環境、組織風土、ワークライフバランスについての改善方針を明示し、職員同志が協力し合う。
また、日本医業経営コンサルタント協会では「職員満足度調査」といったツールを用いて、医療機関の課題を抽出し改善策を実施し職員の満足度を高める取り組みを行っております。
医師・看護師等の職員満足度(E・S)が上がり、やる気が出てくれば、医療安全の確保が出来、医療の質向上に繋がります。
そうなると、患者の満足度(C・S)も良くなり患者が増え、また、業務の効率化も図れれば医療機関の経営が向上し、経営が良くなれば、優秀な医師・看護師等の確保や離職防止に繋がり雇用の質の向上が図られます。
両日の参加者合計は70名で、主に病院の管理者が多かったようです。
このセミナーが医療の質の向上にいささかなりとも役立つことを祈っています。
写真…桜(2/13鹿児島「仙厳園」にて)
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