2016/04/15
「遺言公正証書を作成してみる」<322>
お客様に「遺言公正証書」の作成を薦める立場上、自身も体験すべきと思い、確定申告期間中に金沢公証人合同役場に出向き手続きをした。
手続きの手順は以下の通りです。
1、公証人役場の場所を確認する。
2、役場に電話してから説明を受けに出向く。
公証人や書記と名刺交換する。
3、自分の現在の財産債務の概算を算出し、相続が発生したときの遺産分割の内容を検討する。
4、遺言者の葬儀費用を遺言者の財産から控除するか、あるいは相続人が支払うか決める。
5、財産の裏付け書類を取得する。
(1)、市役所へ…自分(被相続人)と相続人の登記簿謄本。
自分(被相続人)の印鑑証明書。
(2)、法務局へ…すべての不動産の登記簿謄本。手数料は土地建物の1筆ごとに600円。
自社株がある場合は会社の登記簿謄本。1社600円。
(3)、公証人手数料を算出する資料として、預貯金や有価証券の時価明細。
自社株の評価明細。
固定資産税課税明細書(評価は土地×1.4、建物×2.0)。
手数料は遺産の額に基づき算出される。
6、遺言執行人を指定するとともに、公正証書作成の立ち合い人として証人を2人お願いする。
証人には相続関係者はなれない。
7、公証人役場から遺言公正証書の文案と手数料の金額をFAXしていただき確認する。
8、公正証書作成当日には自分と証人2人で役場に出向く。
予め算定された手数料を現金で持参する。
自分は実印、証人は認印を持参する。
証人2人へ謝金を支払う。
9、公正証書の原本は役場にて20年間保存される。
正本は遺言執行者へ、正本のコピーは相続人に渡す。
謄本は遺言者が保管する。
「留意事項や気付いたこと」
1、公正証書作成手数料は相続人毎の相続財産価格により算出される。
手数料算定基準は公証人役場のホームページに掲載されている。
遺産の額は不正確でも遺言公正証書の効力には影響ない。
公証人は届け出を善意として受理する。
2、手数料算出時の財産は現在保有分であって相続時精算課税の相続時合算分は除かれる。
3、配偶者への居住不動産贈与の特例を検討する。(2,110万円が控除される上に相続財産からも除かれる。)
4、遺言能力があるうちに作成する。
痴呆などになると成年後見人制度の援用が必要になり煩雑である。
それを回避するために任意後見人制度がある。(ブログNO・320にも掲載)
任意後見人制度とは本人が契約の締結に必要な判断能力を有している間に、将来自己の判断能力が不十分になったときの後見事務の内容と後見する人を、自ら事前に契約によって決めておく制度です。
5、生命保険契約がある場合は確認しておく。
6、自社株の暦年贈与を検討する。
7、事業承継税制の納税猶予制度の検討。
ただし、猶予制度を利用しても条件が満たさなくなった時点で延滞税が高額になり存続が脅かされる場合がある。
8、相続時の直前3年贈与加算に留意。
9、遺言公正証書を作成しても、その後に遺言が作成された場合は最新の遺言が優先される。
「百聞は一見に如かず」、遺言公正証書を作成する過程でたくさんの気付きを与えていただいた。
手間と手数料がかかるが、十分引き合うと思う。
皆様も作成してみてください。
写真…木蓮(4/10、白山カントリー倶楽部・松風コース)
[遺言・・」 まだまだ遠ーい話しだと思っていました。しかし先日、相続トラブルのテレビ番組を観て、他人ごとではないと感じておりました。
ブログを拝見して、やはりこんなにもややこしいものなのですが、木村先生の手順があると、そのややこしさが半減し勉強になりました。