2016/08/15
「挑戦する老舗企業が体現する経営の智恵を学ぶ」<334>
7月22日に開催されたJPBM(一般社団法人日本中小企業経営支援専門家協会)の「創立30周年記念大会・全国統一研修会」に参加した。
標題のパネルディスカッションを受講する。
[パネリスト]
1、「炭屋旅館」女将・堀部寛子氏
京都の老舗旅館御三家の一角を担う、創業1910年で本年で106年。
旅館を始める以前鋳物を商っていた当時、多くの家元を集め茶会を開催し、大正時代に入ってからは旅館の営業を始め、茶会をはじめとした京文化の粋と風情を広めている。
2、「若林仏具製作所」取締役相談役・若林卯兵衛氏
創業天保元年(1830年)京都で創業し本年で186年。
京仏壇・京仏具の歴史と伝統を守りながら、芸術性や更なる品質を高める新しい独自技術を開発、常に進化を続けている。
「朝に礼拝 夕に感謝」を社是として荘厳仏具を製作。
3、「山ばな平八茶屋」20代当主・取締役会長 園部平八氏
天正年間(1576年)創業し、本年で440年。
若狭街道(通称:鯖街道)の街道茶屋として、御所より一里の山端(やまばな)の地に創業。
かって旅人は、ここで一服のお茶と”麦飯とろろ”をかき込んで旅路についた。
以来”麦飯とろろ”を大切に守りつつ、時代に合わせて、川魚料理~料理旅館~若狭懐石・本膳料理と必要な形を取り入れてこられた。
4、株式会社黒江屋・12代当主 柏原 孫左衛門氏
正保二年(1645年)に京都五条で京呉服や小間物の仕入販売の店「柏屋」を創業して371年。
「江戸店持京商人」として経営の多角化を図っている老舗。
その家業の一つである漆器販売の黒江屋は日本橋で元禄二年(1689年)に創業。
「浮利を追わず薄利多売」で「信用」を重視。
現在は紙販売・漆器販売・ビル賃貸業が経営の三本柱。
[コーディネーター]
ダンコンサルティング株式会社・代表取締役(税理士)
塩見 哲氏
40年にわたり中小企業の目的である「継続」をテーマとして、経営戦略の立案や事業モデルの構築や企業診断・再建計画・出店戦略・人材教育など、経営資源の活性化に関するコンサルティングを行っている。
[受講の感想]
塩見氏の明快なコーディネートで、何百年も続いている老舗企業の企業継続の秘訣を聞いた。
老舗企業経営者が語る共通の言葉は、「不易流行(ふえきりゅうこう)」と「身の丈経営(みのたけけいえい)」、そして「人材育成(じんざいいくせい)」だった。
「不易流行」の意味は。
いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しい変化を重ねているものを取り入れていくこと。
また、新味を求めて変化を重ねていく流行性が不易の本質である。
「不易」はいつまでも変わらないこと。
「流行」は時代時代に応じて変化すること。
その対応には経営者の大局感が求められる。
大局感には社会経済界への洞察と「自利利他」の経営感覚が必要だ。
写真…記念品に配られたパプリカ(宮城県登米市の農業生産法人I・LOVEファーム社製の唐辛子の栽培品種)
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