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2016/11/25

「鈴木大拙のいき方=世界人としての日本人」<344>

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11月16日に「金沢両輪会」主催の講演会で鈴木大拙館館長・木村宣彰氏の講演を聞いた。

 

「鈴木大拙の歩み」

 

金沢時代…0歳(1870年・明治3年)~20歳

東京時代…21歳~26歳

米国時代…27歳~39歳

東京時代(学習院)…40歳~50歳

京都時代(大谷大学)…51歳(1921年・大正10年)~90歳

米国時代…80歳(1950年・昭和25年)~88歳

鎌倉時代…88歳~95歳(1966年・昭和41年)

 

1963年(85歳)、「ノーベル平和賞」の候補となったが国際赤十字社が受賞している。

 

鈴木大拙のことを加藤周一(1919~2008)は「日本文学史序説」の中で次のように評している。

 

「今日まで大拙をこえる人は一人ない」

 

あらゆる時代の日本人のなかで、知的または精神的に、日本国の外の世界にもっとも広く、もっとも深い影響を与えたのは鈴木大拙である。

その意味で彼を抜く者は、今日までのところおそらく一人もない。

日本国内でその影響は、どういうものであったか。

大拙には直接の弟子がなかったが友人があった。

国内での最大の影響は、親友西田幾多郎(1870~1945)の哲学にあらわれている。

彼が生きたほとんど一世紀にも及ぶ長い生涯は、日本文化と西洋文化との対決の時期に重なっていたから、前者にとっての仏教の意味の確認は、また同時に後者に対してその意味の主張でもあった。

著作の半分を英語で書いた大拙は、単に禅を外国に紹介したのではない。

彼は禅を対象化し、それが「日本的霊性」の集約的な表現であることを、普遍的な言語で叙述したのである。

 

 

「大拙と関係のあった方」

 

夏目漱石(1867~1919)…鎌倉・円覚寺の釈宗演から居士号を授与された。「大拙」は27番目、「漱石」は233番目である。

1893年(明治26年)、シカゴ万博と同時に開催された万国宗教会議での釈宗演(34歳)の講演録を英訳したのは大拙(23歳)である。

大拙はそれを「夏目漱石さんに見てもらった」と自叙伝で語っている。

 

坪内逍遙…大拙の英語の先生。

その時分に大拙がおかしいと思ったこと。

英語では犬猫は四本の足を「持つ」と言うが、日本語では「ある」と言う。

西洋の人たちの考え方の根本には所有欲が強くある。

所有欲はつまり権力だ。

大拙の影響を受けたエーリッヒ・フロムは

「持つ」(to have)を「過去、未来」、「敵意、不安感、死ぬことの恐れ」につながり、

「ある」(to be)を「今ここ」、「共存、安心感、生きることの肯定」につながると。

 

「鈴木大拙の思想(大拙の著書から)」

 

・東洋は非合理主義、西洋は合理主義だというが私はどちらでも良いと思う。

人間はどちらか一つで生きてゆけるのでないから、そうして実際は非合理と合理の間で、何となくかじ取りを都合よくやってゆくのだから。

 

なんでも一つにきめてかかろうというのが、よくないのだ。

 

・西洋の人々は、物が二つに分かれてからの世界に腰をすえて、それから物事を考える。

東洋は大体これに反して、物のまだ二分しないところから考えはじめる。

 

・二分性で人間生活を割り切るべきではない。

東洋的な考え方、感じ方、それは無意識であってもなんであってもかまわない。

それを護り立てることによって、二分性文化の不備を補足していかねばならない。

 

・何事も「二」にして「一」て、「鳥の両翼」「車の両輪」の如くでなくてはならない。

一方を欠くならば目的の清涼地に到ることはできない。

 

・日本は世界に対抗させて島国根性を押し出して、安直な、軽薄な、浅はかな愛国主義に終始してはならぬのである。

 

 

石川県が生んだ世界的な思想家・哲学者、鈴木大拙と西田幾多郎はともに明治3年生まれ、金沢の第四高等中学校に学んで、生涯深い交流を続けた。

今年は大拙没後50年にあたる。

 

 

写真…1、インパチェンスの花(11/18、自宅近くで)

 

2、芦原温泉「灰屋」の庭園(11/21、第32回碁游会で滝口九段に4子局7目勝ちで4年半ぶりの勝利)

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木村 光雄
資格
税理士
認定登録医業経営コンサルタント
情報化認定コンサルタント
趣味
囲碁とゴルフ
座右の銘
「この道より我を生かす道なし、この道を歩く」

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