2017/06/05
「AI、人間を圧倒し引退へ」<363>
米グーグルの囲碁用人工知能(AI)と中国の世界最強棋士、柯潔(か・けつ)九段(19)の三番勝負第3局が5月27日、烏鎮で打たれ、AIが3連勝して幕を閉じた。
グーグルは囲碁AIの開発は打ち切り、アルファ碁できずかった技術を医療やエネルギー分野への応用に軸足を移す。
柯九段は対局後、「アルファ碁は完璧すぎた。苦しくてたまらなかった」と話した。
1997年にはチェス世界チャンピオンに勝利し、2013年に将棋の現役男性プロに初勝利している。
囲碁では、アルファ碁がこれで60連勝し人間を抜いたと言われている。
アルファ碁を開発したイギリスのディープマインド社のハサビスCEOは「人間と対局するのは、これが最後になる」と語り、アルファ碁の事実上の引退を宣言した。
ディープマインド社が囲碁AIの開発に取り組んできたのは、「AIの力を試す最適の舞台」だからだ。
人間の脳をまねた「深層学習」と、AIが自己対局を繰り返す「強化学習」と呼ばれる2つの情報処理手法を組み合わせ、人間に頼らずに自分で勝ち方を編み出すAIシステムを作り上げた。
アルファ碁はシステムの実社会への応用は始まっている。
医療分野では特定眼疾患の検出精度向上にAIを活用するプロジェクトが進んでいる。
また、エネルギーの削減や電力の需給調整にも取り組んでいる。
ただ、人間が設定した目標と枠組みの中とはいえ、自ら考え、独創的な手を編み出すAIの登場には「暴走」への懸念もつきまとう。
高度化するAIを適切に管理する仕組みの重要性は今後、一段と高まりそうだ。
写真…「ヤマボウシ」(5/29・鞍月セントラルパーク)
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