2018/07/05
「人生100年、病みながら老いる時代に」 <402>
6月28日~29日、「第68回日本病院学会」が金沢駅前の石川県立音楽堂などで開催された。
学会長は石川県立中央病院の山田哲司名誉院長。
テーマは「医療制度ルネサンス~未来を見据え、今を創新する~」。
山田学会長のご挨拶文の要旨は。
・2025年には団塊の世代が75歳以上になり高齢者が急増する。
・いま、医療制度は「病床の役割の分化・連携強化・在宅医療の推進」、「地域包括ケアシステム構築の推進」を急ピッチで進めている。
・医療費抑制政策の実施が急速になった時代では、病院経営は加速する外部環境に迅速に対応し、将来を見据える能力無しでは適応出来ない。
主催者の開催挨拶には時流が表われている。
私は日本医師会横倉義武会長の「日本医師会の医療政策」、厚生労働省武田俊彦医政局長の「将来を見据えた医療提供体制の構築に向けて」、表題の「人生100年、病みながら老いる時代に」と題した樋口恵子「NPO法人高齢社会をよくする女性の会」理事長の講演、ランチョンセミナーの木澤義之医師による「アドバンス・ケア・プランニングーいのちの終わりについて話し合いを始めるー」を拝聴した。
(公社)日本医業経営コンサルタント協会によるシンポジウム1、「地域医療連携推進法人のこれから」も開催された。
樋口恵子先生の表題講演の要旨。
・5,000名超のアンケートを実施した内容。
・介護は老いた配偶者間の介護や子供が介護で退職する深刻な実態。
介護離職に男性が20%占めていて、これからも増えていくだろう
老老介護は介護の過半数に達している。
子供や長男の嫁に介護を委ねるのは絶滅危惧種となっている。
・介護者が長生きに対して否定的な心情が本音。
・独身者が増加し高齢化する傾向、また少子化は介護者が減少し家が断絶することにつながる。
50歳通過時の独身者は男性で27%、女性17%となり年々増加している。
・長生きしても殆どは服薬している。
服薬していても、自分は健康だと思ってアンケートしている。
・高齢化で病院通いが難しくなっている。
・樋口先生は、周りから「お元気ですね」と言われたら、気分の良いときは「ありがとう」と返事、ときには「86歳で元気な訳無いでしょ」と思う。
子宮筋腫、乳ガン、動脈瘤手術、人口膝手術と満身痩洟なのに。
ランチョンセミナーも拝聴した。
木澤医師のACP(アドバンス・ケア・プランニング)の講演。
ACPとは「患者が治療を受けながら、将来もし自分に意志決定能力が無くなっても、自分が語ったことや、書残したものから自分の意思が尊重され、医療スタッフや家族が、自分にとって最善の医療を選択してくれるだろうと患者が思えるようなケアを提供すること」。
要は、患者の身体苦痛を和らげつつ、何より患者のアメニティ(満足感)を優先すべきことだと感じた。
医師は患者本人の苦痛を実感できぬだけに、患者の心理にどう対応すべきか大変な負担を強いられている。
人生の最終段階を支える医療も進化し続けている。
今は、「治療する」から「治療し、支える」の段階に来ていることを実感した。
日本病院学会は日本病院会が実質的な主催者であり、(公社)日本医業経営コンサルタント協会は同じビルに所在している。
後援に(公社)日本医業経営コンサルタント協会名が列挙されてなく、シンポジュウムで石川県支部の参画も今後の検討課題だろう。
写真…金沢ニュグランドホテル近くにて(6/22)
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