2019/10/15
「覚悟と挑戦~TKC北陸会秋期大学~」<448>
9日、ANAクラウンプラザホテル金沢で、「令和」最初の「第35回TKC北陸会秋期大学」が開催された。
学長は藤井俊彰TKC北陸会会長、実行委員長は木村岳二TKC北陸会理事。
大会のコンセプト
明治維新では武士は自らその権利を放棄し、江戸時代に終止符を打った。
現在、税理士という士業も岐路に立っている。
150年前の黑船に相当する人口知能が職業会計人に影響を与えると言われている。
いま、TKC会計人は何を考え何を行動すべきなのか。
勝ち残る次の3つの条件が求められている。
1、組織化
2、社会の納得
3、新しい業務
新しい業務とは、MIS(モニタリング情報サービス)の提供が、書面添付付きの信頼性の高い決算書を活用した中小企業金融の支援に繋がり、それがTKCブランドを確立する。
MISや書面添付の「覚悟」ある推進で社会に「挑戦」する大会コンセプトのもと、400名の参加者は熱心に聴講した。
昨年、金沢で開催された第45回TKC全国役員大会で、遠藤俊英金融監督局長(現、金融庁長官)が基調講演で「金融行政の方向性と外部専門家への期待~金融機関による共通価値の創造に協力を~」と題して、顧問税理士と金融機関の協働を説かれたのは歴史的なことであった。
第一部 基調講演
坂本孝司TKC全国会会長の演題は、「税理士の未来~新たなプロフェッショナルの条件~」。
・TKC会計人は、日本の職業会計人(税理士登録しない公認会計士は除く)の職域防衛と運命打開のために絶対実践原理とする集団である。
TKCや自分のためではなく、日本の職業会計人のために存在する。
・税理士は、「税務」「会計」「保証」「経営助言」の4大業務であって、すべて同じデータに基づく多様な分類・分析および解説を包含し、同一の企業に対して4大業務を同時に提供できる。
・「私の会社は何屋さん」かを定義することが重要。
・税理士はインテリジェンス・バンクとしての機能を発揮すべきである。
・税理士は企業・個人のガバナンス強化に貢献する専門家である。
・税理士の業務は本来、税務に関する法律業務である。(飯塚毅初代会長)
・税理士よ法律家であれ。租税法は法律であり、憲法三十条の租税法律主義を基本原則としている。したがって租税法を取り扱う税理士業務は「法律業務」を本質とすべきである。(松澤智第二代会長)
・「保証業務」には、決算書の信頼性と職業会計人の保証の程度には相関関係がある。
・2012年に「中小企業経営力強化支援法」が施行されて、2016年には「経営革新等支援機関を認定する制度」が創設された。
しかし、認定支援機関は多く登録されたが実行が弱く、浸透は道半ばである。
・帳簿を作成していないと破産も出来ない。
・坂本会長の著書、「税理士の未来」が中央経済社から発売されている。
第2部 パネルディスカッション
パネリストに北陸三県の第一地銀の役員が出席された。
北陸銀行 前田部長
北國銀行 小西取締役
福井銀行 佐竹取締役
・2003年に金融庁が「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」が公表され、金融行政が変化した。
2011年には、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」により、税理士との連携を提示した。
・地域金融機関は貸し出しだけでなく、最近は企業への経営サポート(ビジネスマッチング、事業承継など)に力を入れている。
・最近の報道では、政府は地域金融機関の合併をはかる法制化を進めているようだ。(木村)
・三行の貸出金とMIS(モニタリング情報サービス)受信件数。
北陸銀行 4兆7千億円(28,000件?)
北國銀行 2兆4千億円(15,000件)、MIS受信は900件。
福井銀行 1兆7千億円(10,000件)、MIS受信は500件。
金融機関とTKC役員とのパネルディスカッションは時代背景を浮き彫りにし問題点と課題も出され有意義だった。
また、QRコードによるリアルタイムな参加者アンケートを取り入れ、斬新な運営だった。
懇親会ではサプライズ企画もあり、提携企業の方々と会員・職員300名が懇親を深めた。
写真・・・リーフレット、木村岳二実行委員長の開会宣言と懇親会。
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