2022/05/15
「第77期本因坊戦第1局」<541>
本因坊文裕(32)=井山裕太九段=に一力遼棋聖(24)が挑戦する第77期本因坊決定戦七番勝負第一局が、5月10日~11日に金沢市の金渓閣(尾山神社)で開幕した。
文裕は前人未到の11連覇を目指す。
一方、初挑戦の一力は棋聖に続く3大タイトルの本因坊を狙う。
本因坊のほか、名人、王座、碁聖の4冠を保持する文裕と、序列1位の棋聖を持つ一力との対決はまさに「頂上決戦」で、今後の囲碁界のすう勢を占う注目のシリーズとなる。
本因坊戦は、石川県では2009年に辰ノ口温泉「まつさき」、2011年に粟津温泉「法師」で開催されたが、金沢市では初めての開催である。
金沢市には初代本因坊算砂が1617年(元和3年、58歳)に加賀藩の寄進で建立した本行寺(日蓮宗)が本多町にある。
本行寺は3度の火災で焼失し、現在の建物は1903年に再建されたもの。
算砂は大阪夏の陣による豊臣家滅亡の後、1615年(56歳)に加賀藩3代藩主前田利常の碁の指南役を3年間務め、本行寺を建立してから1617年に京都へ帰りました。
京都の寂光寺に墓所があります(享年65歳)。
9日に両対局者は本行寺を訪れた後、対局場を検分する。
私は碁盤を提供するため9日午前中に磐石を金渓閣へ搬入する。
10日の対局開始時には立会人として参席した(写真)。
対局は歴史に残る激闘で、終局時間は11日午後9時34分。
結果は本因坊文裕の黒番半目勝ち(コミ6目半)となった。
357手は本因坊戦史上最長手数(過去は2007年の343手)で「碁石が足りなくなるのではないか」と心配の声が出る。
(実際には白黒合わせて361個以上有り、盤上を埋めるだけあるので足りなくなることは無い。劫が重なって石が無くなった場合はアゲハマを同数交換すれば良い。)
控室の解説陣や記者からは「レベルの高い、ものすごい戦いだった」「こんな対局は見たことがない」との言葉が漏れた。
参加棋士は羽根直樹九段(立会人)の他、小林覚九段、高尾紳路九段、後藤俊午九段、山城宏九段、小県真樹九段、榊原史子六段、佃亜紀子六段と豪華な顔ぶれ。
大盤解説会は11日に金沢ニューグランドホテルで開催され、解説担当の山城宏九段に聞き手は佃優子石心席主(姉)と佃亜紀子六段(妹)の姉妹が登場した。
私は大盤解説会と打ち上げ会に参加したあと家に帰ったのは午前0時を回っていた。
写真・・・本因坊戦初日の対局開始時、左から7人目は私、左から9人目は前田家18代当主の前田利祐(としやす)氏。(5/10)
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