2023/08/15
「太平洋戦争1943」<586>
8月15日終戦記念日のお盆には、必ずテレビで1941年~1945年の太平洋戦争の番組が放映される。
今年は今から80年前にあたる1943年に焦点をあてたNHKスペシャル「新・ドキュメント太平洋戦争1943」を見て、1943年が戦局悪化が始まった年だったことを知る。
国家総力戦ながら敗北を重ねて戦力を消耗し市民の生活を一変させた日本の姿を映し出している。
この年に自分が生まれたのかと思うと胸が詰まる。
・それまで戦争から遠かっていた子供や若者までが戦争に巻き込まれて行く。
・学業半ばで銃をとることになった大学生には過酷な運命が待っていた。
・15歳~17歳の中学生3万人が甲種飛行予科練習生に名乗りを上げる(実際は割当ての志願競争)。
今、生存されていたら95歳97歳になられている。
・取材した親の日記には葛藤や戸惑いが記されている。
・母親に空襲があったら幼い子供と死ぬ覚悟の日記。
・アジアと太平洋の広大な地域を占領下に置いていたが、山本五十六連合艦隊司令長官の戦死(6月国葬)やアッツ島守備隊二千人の玉砕全滅(9月合同慰霊祭)により敗色濃くなる。
・「玉砕」、「鬼畜米英」「ヤンキー」(米国は日本をジャップと呼ぶ)、「一億火の玉」、「学徒出陣(10月)」、「撃ちてし止まん」、「殉国」、「報国」「大東亜共栄圈」、「一矢報いる」、「徴用」「銃後」、「軍属」、「八紘一宇」(世界を天皇の名の元に一つの国家にする)などの言葉が国民に浸透して死が美化される。
・志願しないと心の中で卑怯者扱い。
・ギルバー卜諸島タラワ島の戦い(10月~)。
日本軍4601人、米軍18600人。
日本は最後には飢餓と病気の中で幹部が脱出、兵士は自爆攻撃。
・1944年、サイパン島が陥落。敗色濃厚。
・1945年8月に広島と長崎に原爆投下。
・全戦没者310万人のうち1944年以降の戦没者は281万人にのぼり、91%が戦争末期に犠牲となっている
・1945年9月2日に日本はポツダム宣言に調印し降伏。
・結果、領土は拡大どころかロシアに北方領土を侵略されてしまう。
歴史は繰り返される。
現在も、2022年2月に開始されたロシア連邦によるウクライナへの全面進攻。
今は原子爆弾の脅威の中にあるが、人類は闘争本能を抑えず、この1万年間ずっと殺しあってきた。
それまでは、人間は友好的でお互いに助け合う存在だったが、文明ができてから人間は堕落したんだと哲学者ルソーは言う。
考えるべきは「どういう条件が整えば助け合える社会を作れるか」で、「自由の相互承認」を意識して人類が共存していくしかない。
(写真)
NHKスペシャル「新・ドキュメント太平洋戦争1943」。
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