2023/10/25
「地銀の非金融事業、なぜ拡大」<593>
10/17のNHK解説委員室で標題のテーマが解説されたので骨子を以下に列挙します。
・地銀が「何でも屋」に?
新たな役割への模索。
・人材の紹介、まちづくり、それに農業。
・2020年に広島市で設立された「ひろぎんホールディングス」は、ほかの銀行に先駆けて持ち株会社を作り、その後、非金融事業を営む3社を設立してグループ経営に乗り出しています。
そのうちの一つが人材紹介業で、首都圏で活躍する人材を紹介しているのが特徴です。
もう一つは国内外の大手ホテルに広島への進出を打診し、誘致に成功した後は銀行の取引先およそ100社とのマッチングを生み出し銀行の融資に繋げました。
ひろぎんホールディングスの部谷社長は「融資だけに頼った業務運営は限界に来ている。地域の課題を解決するための何でも屋という形にならないと将来がない」と話す。
全国一円に店舗網を持つのが都市銀行で4行あり、地方を経営基盤とする地銀は99ある。
地銀の経営環境は厳しさを増しており、地域経済も低迷し年々儲からなくなってきている。
その原因は・・
日銀の大規模な金融緩和で金利が低い状況が長年つづき、また、深刻なのは企業のカネ余りです。
バブル崩壊などの経験を経て、多くの企業が借金に頼らない傾向が強まっていて、地銀は貸出の競争で金利をさらに安くする悪循環に陥っているのが実態である。
金沢市の北國フィナンシャルホールディングスは、デジタル技術を生かして地域の生産性を高めるため、取引先へのITコンサルに加えて、キャッシュレスを推進しょうと、地域のデジタル通貨の導入を進めている。
松江市の山陰合同銀行は再生可能エネルギーの会社を設立し、脱炭素の取り組みを地域に根付かせようとしている。
山口フィナンシャルグループは、福利厚生を代行する会社を設立。
地元の飲食店や美容室などの割引サービスをアプリで提供。
また、地域の特産品を販売する商社や、耕作放棄地に特産品のわさびを作る農業法人を設立している。
ここに来て地銀の事業範囲が拡大している背景には2021年の銀行法の改正による規制緩和がある。
金融庁によると地銀グループが新ビジネスの会社を設立したのは8月時点で45に上る。
経験のない分野に進出することは地銀にとって負担であり、サービスを必要としていない取引先に利用を押し付ける懸念も指摘されている。
また、地域の企業と競合して仕事を奪ったり、新たに参入する可能性を摘んでしまったりすれば本末転倒になる。
何より新事業といっても、日頃から顧客の規制と信頼関係を築き、ニーズを把握することに努めていないと上手くいかない。
地銀の事業は手段であって、目的はあくまで取引先企業を発展させ、地域経済を活性化することである。
(写真)
虹あらわる。(10/21午後5時、ゴルフガーデン金沢にて)
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