2023/12/05
「介護難民が続出か」<597>
2000年に介護保険制度がはじまり、それから日本はデフレ状態が続いてきたが、昨年あたりから物価の高騰と賃上げが進む中にあって、今年は6年に一度の医療報酬と介護報酬の同時改定と相まって関心が集まっている。
今、審議されているのは診療報酬と介護報酬の引き上げと介護保険料の負担増だ。
介護サービスにかかる費用は、2023年の予算ベースで13.8兆円だが、団塊世代が65歳になる2040年には26兆円と倍増する試算がある。
介護保険は40歳以上が保険料を払いサービスを受ける制度だが、65歳以上の負担増が検討されている。
現在、保険料は全国平均で月額6,014円。
これを高所得者(410万円以上)の負担引き上げ、低所得者は負担引き下げ。
また、利用料の2割負担を単身年収280万円以上から220万円以上に拡大検討されている。
利用料が増えれば、ディサービスやショートスティ(宿泊付き)の利用回数が減ってしまう。
また、年金生活者の負担増は暮らしを圧迫する。
認知症などの要介護1・2を介護保険から外し、市町村の総合事業に移行することも検討されている。
そうなると予算の制限を受けて報酬単価が下がり、ヘルパーなどの利用回数が減って介護事業所の収入が大幅に減り倒産の危機もある。
一方、介護ヘルパーの有効求人倍率は15.5倍と過去最高。
平均給与は月例31万8,320円と全産業平均より4万2千円も低い。
介護職員の必要数は2040年には280万人だが69万人不足すると見込まれているが、認知症患者は2025年には730万人、2060年には1,154万人と増加の一途をたどる。
外国人労働者は5年間に6万人受け入れる目標を掲げている。
現役世代は今後20年で2割減少し、高齢者は300万人増加する。
人口減少社会の中で医療介護予算は2023年度で61兆円が2040年度には93兆円と見込まれる。
今後は介護の人材確保と作業効率を上げる工夫をしないと介護難民が増えてしまう一方だ。
経済成長すれば社会保障負担が確保できるのだが、それには賃上げと物価上昇の好循環が必要だ。
(写真)
白山カントリー倶楽部の紅葉。(11/26)
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