2024/03/15
「医師の偏在を無くする政策を」<607>
3/13付け日本経済新聞の社説を読む。
2026年度以降の医学部定員をどうするのか、厚生労働省の議論が本格化してきた。
今の定員を維持すると30年ごろから医師の総数が過剰になると見込まれるためだ。
24年度の医学部定員は約9400人。
高齢化によるニーズの増加に対応するため、08年度から地域枠を増員するなどして過去最多の水準を維持してきた。
08年に約28万人だった医師の総数は約34万人まで増えており、厚労省は働き方改革で医師の長時間労働を抑える前提を置いても、早ければ29年ごろに約36万人で需給が均衡すると推計している。
ただ外科や救急科、産科など、医師確保に苦しんでいる医療現場が多いのも事実だ。
東北地方や信越地方など深刻な医師不足が続いている地域も少なくない。
長時間労働で持ちこたえている。
24年4月から医師の長時間労働に罰則付きの上限が科される「2024年問題」への対応を考えても、外科などの医師を確保する対策は急務といえる。
総数が増えているのに医師不足の問題がなくならないのは、医師の配置が偏っていることに原因がある。
激務の外科や救急科を敬遠し、勤務先も東京など大都市を希望する医師が多いからだ。
医師数が多くなると、医師の生活基盤の不安定、過剰な検査、国民負担の過重を招く。
医師不足地域に誘導するシーリング制度を導入したが決め手になっていない。
これまでの施策を深掘りしつつ、医師の専門や勤務地の選択にある程度の制限をかけるべきだ。
私は2013年6月にノルウェーオスロで開催されたIHF国際病院学会を見学した。
そこで知ったのは、医師は国の指示に従って勤務する制度だった。
日本では医師会が独立していて、厚生労働省は話し合いでしか決定できない。
両者の大所高所からの政策論議に期待するしかない。
(写真)
白梅、紅梅、山茶花。
(3/1、金沢カントリー倶楽部にて)
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