2024/04/25
「企業価値の向上へCFOの責務は」<611>
企業で最高財務責任者(CFO)が果たす役割が重くなっている。
経理や財務だけではなく、会社全体の経営戦略の担い手として責務を負う。
資本市場に向き合い、経営者とともに持続的に企業価値を高める姿勢が求められる。
経理の専門家という印象は変わりつつある。
最高経営責任者(CEO)が掲げるビジョンを踏まえ、戦略的に成長を目指す事業の構築や資本政策、M&A(合併・買収)までCFOが関わる判断は経営そのものといっていい。
米国企業の経営ではCFOをCEOや最高執行責任者(COO)とならべて「Cスイート」と呼び、主要な経営陣とみなす。
CEOがCFOを直属の部下とみなすような縦型の構図とは異なる。
日本でもCFO経験者が経営トップに就任する企業が相次いでいることは注目に値する。
ソニーグループの社長も2代続けてCFO出身者がつとめる。
将来にわたり現金収入を増やし続ける経営こそ、株主から長期に評価され、企業価値が上がる。
環境対応や人的資本など非財務分野も企業価値に関わってくる。
一連の取り組みを明確に伝える投資家向け広報(IR)は重要度を増す。
市場の声に耳を傾け、経営判断に生かさねばならない。
効率ばかりに目を奪われ設備や技術の将来投資、M&Aを渋れば、企業は力を落としてしまう。
優れたCFOは企業の成長力のカギだ。
(4/23、日本経済新聞社説)
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